ペットシッターに限らず何か新しい事業を行う場合は、税務署への開業届の提出が必要です。開業届を出していなくても毎年の確定申告をしっかり行い、税金を納めていれば特にペナルティはありませんが、開業届を出す事によって得られるメリットがありますので、ペットシッターを始める際は動物取扱業の登録が完了後、開業届を出す事をおすすめします。
目次
開業届を出すタイミング
開業届は事業を始めた事がわかる書類が必要となりますので、ペットシッターの場合は動物取扱業の登録が完了し登録証が発行されてから税務署へ提出を行うのが良いでしょう。
開業後2カ月以内に提出を行えば、開業した年から後述する「青色」での確定申告が可能ですが、それを過ぎてしまうと開業した年は「白色」の申告となり、税制面で少し不利になります。
開業する時は経費がかかりますので、様々な控除が受けられる青色申告を行う為に開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を出すようにしましょう。
ペットシッター開業の流れについては「ペットシッター、キャットシッター、犬の散歩代行で開業する為の流れ」をご覧ください。
開業届を出すメリット
青色申告特別控除を受けられる
青色申告を行う場合は、複式簿記か単式簿記での帳簿の記入が必要となり、複式簿記の方が少し難しいのですが、しっかり行う事で65万円の控除を受けることが出来ます。単式簿記の場合は10万円しか控除が受けられません。
青色申告専従者給与の対象となる
青色申告の場合、家族を従業員として雇い給料を支払った場合、全額給与として経費にする事ができます。白色申告の場合も可能ですが、年間86万円までと制限があります。
家族を事業専従者とする場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があり、その期限は開業から2カ月以内か青色申告を行う年の3月15日までと決まっています。
注意点としては配偶者を事業専従者とした場合、給与は経費として申請できますが、配偶者控除を受けることが出来ず、給与の額によっては不利になる事がありますので注意が必要です。
赤字を3年間繰り越せる
ペットシッターとして活動し利益が出なかった場合赤字となりますが、青色申告の場合この赤字を3年間繰り越す事ができます。
例えば開業した年は開業する為の費用やお客様を獲得するための広告宣伝費等がかかり、開業して1年目は100万円の赤字、翌年は順調で50万円の黒字が出たします。
白色申告だと2年目は税金がかかってきますが、青色申告の場合損失を繰り越せますので、前年の赤字100万円から今年の利益50万円を引いて50万円の赤字と出来る為、所得税はかかりません。
白色申告の場合前年までにどれだけの赤字があったとしても、利益が出た年は税金がかかってきます。
青色申告の帳簿のつけ方は難しい?
「税制面で優遇されるのはわかったけど、複式簿記って難しいんじゃないの?」という方もいるでしょう。単式簿記は簡単に言うと家計簿のような書き方なのに比べ、青色申告はちょっとしたルールがあります。
ここでの詳しい説明は省きますが、税務署にいけば無料で記帳方法を教えてくれたり、日付を決めて青色申告の講習等も行っていますので、開業届提出の際に問い合わせてみると良いでしょう。
法人の場合は必要な書類が格段に増えるので、個人で確定申告を行うのはかなり難易度があがります。法人にする場合は利益が出ている場合だと思いますので、税理士さんに依頼する事をオススメします。
開業届を出すデメリット?
事業を開始したら開業届を出すのが基本ですが、開業届を出すと失業保険が受取れなくなるというデメリットが挙げられます。
開業届を出すと「事業を始めました。」と宣言することになり、再就職の意思は無いものとみなされ失業保険は受取れませんし、再就職した場合の「再就職手当」ももらう事ができません。
サラリーマンの副業として何か事業を行う場合などは注意が必要です。
開業届は出すべき?
ここまで開業届のメリットやデメリットをお話ししてきましたが、実際、開業届は出すべきなのでしょうか?
収入や家族の条件により異なってきますが、年間の所得が20万円以下の場合、確定申告の必要はありませんので、開業届を出すメリットはありませんが、今後その金額を超える収入が見込める場合は、開業届を出すメリットは十分にあると言って良いでしょう。
まとめ
開業届は屋号で銀行口座を作る際に必要だったり、社会的信用に関わる部分でもありますので、しっかりと理解をしておきましょう。
ペットシッターとして開業する際にご夫婦で始める方も多いと思いますが、青色申告にして配偶者を事業専従者として雇用する場合は、「開業届」「所得税の青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」の3点の提出が必要となります。
詳細は必ず税務署で確認し適切な方法で手続きを行うようにして下さい。